2017.01.27

「煽りタイトル」と「事実に基づくタイトル」の比較考察。「ボルト金メダル剥奪」の見出しを例に。

週刊誌、スポーツ新聞の見出しには「煽り」が付き物というのはわかってはいても、ちょっとやりすぎでは?と思ったのがこれ、


「ボルトのリレー金剥奪 北京五輪、銅の日本は銀へ」(日刊スポーツ)



上記はあくまで一例。昨日の情報番組も軒並みニュースの内容を伝えるテロップは「ウサイン・ボルト 北京五輪リレー金メダル剥奪」といった単語が並びました。


もう、ある程度周知のニュースになっていますが、あなたはこの見出しだけみた時、どんな印象を受けましたか?さらに「事実」を知った後、どう感じたでしょうか?


このギャップを問題視したいのです。






■ミスリードする衝撃的な見出し

私がこのニュースを知ったのは、次男の第一声。朝の情報番組を見ていた彼が、


「お母さん!ボルトが金メダル剥奪だって!」


とキッチンにいる私に伝えてきたのです。


「ええ!?」と驚きましたが、確かにテレビの右上に出ているテロップには、そう書いてあります。


この時、私の頭の中には2つの疑問が浮かびました。


「まさか、ボルトがドーピング?」

「なぜ、北京五輪の金メダルが今更問題になるのだろう?」


そうした疑問を解消すべく、よくよくニュースを聞いてみると……次男の言葉とテロップから想像したことと、「事実」は大きく異なるものでした。


そう。これ、「ボルトが原因で金メダルを剥奪」ではないのですよね(^_^;)


事実は、北京五輪の400メートルリレーで同じメンバーにいたネスタ・カーター選手が、北京五輪のドーピング再検査で興奮作用のある禁止薬物のメチルヘキサンアミンに陽性反応を示して失格となったとのこと。


見出しの文字面だけ見ると、ボルトの名前しか出てこないので、「ボルト本人が」とミスリードされても仕方ありません。


また、「なぜ、2008年の北京五輪の再検査を今頃?」と思うのですが、カーター選手は昨年6月にドーピング検査で陽性だったと一部で報じられて以降、競技からは遠ざかっていたという疑惑があるのだとか。そうした背景から再検査となったのかもしれません。


■同じ「事実」も「切り口」が違えば印象が変わる

で、問題はここから。


このした「事実」を知って、ニュースとして報道する時、あなたならどう見出しをつけるでしょうか?


「ボルト金メダル剥奪」は嘘ではありませんが、新聞を買わせるため、テレビを見てもらうため、記事タイトルをクリックしてもらうための「引き」として利用されていることは間違いないでしょう。


確かに日本における(世界でもですが)知名度はボルトのほうが断然上ですし、もし金メダルを剥奪されれば、陸上ではカール・ルイスらに並んで最多だった9個獲得の金メダルが1つ減ることにもなり、大きなニュースと言えます。


これをトップに持ってきたいという気持ちは、わからないでもありません。


でも、アメリカのCNNのサイトでは、より事実に近い、下記のような見出しが付けられていたのを目にしました。


「ジャマイカ陸上、北京の金メダル剥奪 ボルトの成績にも影響」(CNN.co.jp)



「ボルト」ではなく「ジャマイカ」を主語にしたこの見出しなら、冒頭で私のような勘違いや誤読をする人は出ませんよね。インパクトの強さはともかく、より事実に近い良心的な見出しになっていると言えます。(日本語訳バージョンを見ているので、原文でのニュアンスはわかりませんが)

また、「銅の日本は銀へ」と報じる日本マスコミと「ボルトの成績にも影響」と報じるCNNの視点の違いも面白いところ。


同じ事実を扱っていても、何をどう伝えるかの「切り口」は、伝える側の意図によって左右されるということです。


■情報との上手な付き合い方&発信者としての心得

情報を受け取る際には、その辺りを加味しながら、多角的に判断していくことが大切になります。見出しだけ見て「知ったつもり」にならず、中身も精読してみること。1つのソースだけで判断せず、多角的に事象を捉え、事実をあぶり出すこと。ミスリードされたり、偏った物の見方になってしまったりしないように、しっかり「目」を利かせていきましょう。


一方、あなたが発信する場合は、大切・知って欲しい部分を切り取ったり、そこに光を当てたりすることで、オリジナルな物の見方を提示していくと同時に、言われなき誤解を招かないように細心の注意を払っていく必要があります。


大胆さと繊細さ。難しいですが、この2つを同居させ、バランスを取っていくことで、人の目に留まり、かつ心に響く発信としていくことができるのです。


日々のニュースの中からも、いろいろ学べることがあります。受身ではなく分析者の目で世の中のことを見ていくと、文章を書くときの「視点づくり」にも役立つはずですよ。

記事タイトル(見出し)の付け方については、こちらでも書いています⇒魅力的な記事タイトルの付け方〜「良い見本」と「悪い見本」


★ライティングスキル&モチベーションアップに役立つ情報を配信中★⇒「書いて稼ぐwebライティング」のご登録&サンプル記事はこちらから

★お気に入りの商品レビューをブログで発信して報酬ゲットならこれ!★⇒『風花初芽』のレビュー〜2ヵ月で確実に3万円稼げるアフィリエイトしませんか?


★「好き」や「得意」を生かして、情報発信&教える仕事につなげたいなら、ブログで集客が第一歩★⇒オンライン&マンツーマンで学べます!月子のブログ添削講座一覧

★お仕事のご依頼、ご質問、お問い合わせはこちらからお願いします⇒連絡フォームが開きます

記事がお役に立ったら、ポチで教えてね♪
↓  ↓  ↓

人気ブログランキングへ

にほんブログ村 本ブログ 編集・ライター・書店員へ
にほんブログ村

この記事へのコメント
ブログ拝見しました。
とても勉強になりました。
情報の発信者に踊らされないためには、言い方は悪いですが、疑ってかかるという事が大事に思います。会社でも、仕事ができない人に限って、
抽象的で、どうとでも受け止められる表現をする事を思い出しました。
Posted by アキモト at 2017.01.29 00:54
私、いつもネットニュースの見出しだけしか
チェックしない人なので、
ご指摘の通り、誤解していました!

情報社会なんて言われていますが、
正しく情報を扱えている人は少ないんでしょうね。
(私も反省させられました…。)
Posted by 東ピロ at 2017.01.31 14:16
アキモトさん

コメントありがとうございます。
いろいろな角度からみて情報を受け止められる
「知性」を磨くのが大事ですよね。

同じように、表現するときも
いろいろな立場の人のことを考えて
誤解のない、伝わりやすい言葉を選んでいきたいです。
Posted by 月子 at 2017.02.01 14:57
東ピロさん

コメントありがとうございます!
私も、ついつい記事タイトルにつられてクリックがあるので
自戒を込めて書いています(笑)
Posted by 月子 at 2017.02.01 14:59
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。